セレストブルー02
昼過ぎに起き出したらしいキキョウは辺りをフラフラして、最終的に迷子になり通行人に案内されてマルシェに戻ってきた。すいませんありがとうございますとキキョウを案内してくれた通行人にランチが頭を下げ、お詫びにとユーカリのパンを包んで渡す。おそらくはギロリと一睨みされた上に尊大な態度で道を聞かれたであろうに親切な人だった。
親切な通行人が立ち去ると、キキョウはまたフラフラと歩き出す。行く宛もないだろうし方向音痴なのにどうしてそうフラフラあっちこっちに歩いていってしまうのか。食材の在庫チェックをしていたリンドウが慌てて駆け寄り呼び止める。
「兄弟子、あまりあちこちフラフラ歩き回らないでください、そんなに暇なら仕事はいくらでもありますから」
その言葉にキキョウはゆらりと振り向くと、眉根を寄せてリンドウを睨み付けた。昨夜の事が思い出されて肩がびくりと跳ねそうになるが、必死に踏み止まる。
「あぁ? るっせぇな、オレがいつどこに行こうとテメェにゃ関係ねぇだろ。別にこんなチンケなマルシェ、戻って来られなくたって構やしねぇ。それに仕事を手伝うなんざご免だっつってるだろうが」
「正式に働いていただけるなら、王宮から給料も出ます。キッチンカーを買い直す資金が必要なのではないですか?」
必死に言い返すと、睨み付ける視線の鋭さは変わらないものの、図星を突かれたのかそれ以上の悪態はつけなかったようでキキョウは黙り込んだ。
「それに、お昼ご飯食べますよね? 食べ終わったら午後はリンドウと一緒に店番お願いしますね」
横からひょいとランチが顔を出す。忌々しそうにぐぬぬと唸ってはみても腹も減っていたのだろう、キキョウは渋々の様子で頷いた。
「わーったよ、立ってりゃいいんだろ。まあ仕事は全部そこの弟弟子サマにやってもらうけどよ」
「そんな人にはお給料も払わないしお昼ご飯も食べさせませんよ!?」
「冗談だよ冗談。真面目かよ」
「いつだって真面目ですよ? 特にキキョウさんに対しては!」
にっと笑ってみせるランチを胡乱げな目で見て、キキョウは長い溜息を吐いた。
「チッ、調子狂うぜ。おい、飯はどこだ」
「あっキキョウさん、そっちじゃないです、向こうですよー!」
また明後日の方向に歩き出そうとしたキキョウをランチが呼び止め、キキョウの分の昼食が用意してあるスペースへと誘導する。キキョウの扱い方が二日目にして早くもこなれてきている、流石はランチと感嘆する他ない。
それに比べて己の体たらくといったら。昨夜の事を思い出して顔がかあっと熱くなる。半ば無理矢理とはいえ、とんでもない醜態を晒してしまった。もう思い出したくもないが、兎にも角にもリンドウはキキョウのペースに完全に巻き込まれ、いいように弄ばれた。平然を装ってはいるもののダメージもかなり残っている。特に腰や腿の辺りは動く度に軋むように痛み、その度に惨めな思いに捕らわれる。昨夜リンドウが遭遇した出来事は、一言で表現するならば手篭めにされたということだ。そんな無体な仕打ちをされるような謂れはないし、とても許せる事ではない。
それなのに。キキョウから自分に向けられているのが単純なただの悪意ではないような気がしてしまうのはどうしてだろう。
確かに情け容赦なく酷い事はされたのだが、狭いベッドでそのまま寝かせてくれたのは何故なのだろうかとか、どうにも行動に一貫性がないというか辻褄が合わないところがある。あれだけ嫌がっていたように見えるマルシェの仕事も渋々だが引き受けているし、昨日の食器洗いもブツブツ文句を言いながらもきちんとこなしていたとブーケガルニが話していた。リンドウ以外のメンバーには口は悪いものの特に実害を与えている様子もない。
リンドウが何か気に食わない事をしてしまったのか、あるいはリンドウの何かが気に食わないのか。ランチの件で口答えしたのが気に食わないとは言っていたが、いくらなんでもそれだけであんな事をするだろうか。
だがいくら考えても実際のところは分からないし、キキョウに聞いたとして素直に話してくれるようにも思えない。いつまでこの状態が続くのだろう、それを考えるとリンドウの表情は自然と曇った。
「ようリンドウ、どうしたそんな暗い顔して」
声に振り向くと、アキノが手にまんぷくマルシェの持ち帰り用の袋を抱えて立っていた。
「アキノ、来てくれたのか、ありがとう」
「お前さんの和菓子を約束通り買ってみようと思って来たんだが、見たこともないような食べ物が多くてあちこち目移りしちまったよ。昼飯にはパンとかいうやつもいいって聞いて買ってみたんだ」
「それはいい、ユーカリの焼くパンは絶品だからな。味は保証する」
「へぇ、なんせ初めて食べるからな、こんな形の食べ物見たこともないし食べるのがなんだかちょっと緊張するな、ハハ」
照れくさそうに笑うアキノを見てリンドウは師匠の和菓子を初めて見た時の事を思い出していた。リンドウもそれまで料理やお菓子には様々な色や形があるのだと知らなかった。実演販売をしていた師匠の手から次々に生み出される、小さな世界を内包したような色や空気や光、様々な要素を含んで言葉にしきれない程の感情を呼び起こす和菓子を見て、食べ物に美しいという感情を抱く事ができるのだと、そんな食べ物をその手で作り出せる人がいるのだという事にとにかく感動した。
その時の感動はずっと色褪せる事なくリンドウの胸の中に灯り続けている。いつかは自分もあんな風に人の心を動かし人生を変えてしまうようなものを作り出してみたい。弟子は取らないという師匠の元に日参し粘りに粘って弟子入りを勝ち取り、それから数年、少しは夢に近付けているのだろうか。
食事といえばチューブに入った栄養食で、外国に行く機会でもなければ見目鮮やかな食事とは縁遠いルエラニの人々の中にも毎日のようにマルシェに通ってくれるファンが出来ている事を思うと、マルシェを通じてリンドウの夢は少しずつ叶えられているのかもしれない。
「ところで、何か悩みでもあるのか? やけに浮かない顔してたが」
改めてアキノに問われ、リンドウははっとなって反射的に首を横に振った。
「あ、いや、大した事じゃない。食材の在庫の数が合わなくてな」
軽い嘘が口からつい出てしまったが、小さな事でも辻褄が合わなければすぐに深刻に考え込んでしまうリンドウの性格をよく知るアキノは、その嘘の内容に納得したようで軽く頷いた。
「そうか、それならいいんだが。お前達がここにいる間は何かあったら相談に乗るから話してくれよ。すぐ一人で抱え込んじまうのがお前の悪い癖だからな」
「……そうだな、何かあれば甘えさせてもらう」
微笑みかけるとアキノは安心したように頷いて、その後腕時計を見やる。
「おっと、そろそろ帰らないと昼飯が食えなくなっちまうな。じゃあまた来るよ」
「ああ、待っている。またな」
早足で駆け出したアキノの背中をリンドウは手を振って見送った。昼食を終えて店番を交代するためにリンドウを呼びに来ていたランチとキキョウはその様子を少し離れて目にしていたが、キキョウがぽつりと疑問を漏らした。
「あいつのダチか何かか?」
「そうです。アキノさんっていってリンドウの同級生で、今は外交官をされてるんですよ。リンドウも和菓子の師匠に弟子入りするまでは外交官を目指して勉強してたって聞きました」
「外交官だぁ? するってぇと奴が通ってた学校ってのは随分といいとこのボンボンが通うような学校じゃねぇのか」
「リンドウはお父さんが外交官でお母さんが軍人をされてるみたいなんで、裕福なお家だとは思いますよ」
リンドウに興味を持ってくれたのかと嬉しくなりランチはつい饒舌に答えてしまったが、返事を返さないキキョウが気にかかってちらと横目で伺うと、鋭い目付きでリンドウを睨め据えていた。どうしたのかと聞こうとランチが口を開こうとするとキキョウはすたすたと歩き出した。
「おら、店番替わる時間だ、さっさと行くぞ」
「あ、はい。すぐに。すまないランチ、チェックは終わっているからこれを頼む」
追いついてきたランチにリンドウが在庫チェック用の帳簿を渡す。先程見せたキキョウの表情が気がかりでランチはもう一度横目でキキョウの顔を盗み見たが、眠そうな気怠げないつもの顔に戻っていた。気のせいかとも思ったが、あの時のキキョウの視線には強い憎しみのようなものがあったような気がして正体の分からない不安に襲われる。
いつの間にか二人は連れ立ってキッチンカーの方へと歩いていってしまっていた。このままにしておいていいのだろうか、軽い焦りがランチの中に生まれるけれども、キキョウに何かあるのかと聞いてもまともな返事が返ってくるとは思えない。
でも最初から諦めてたら事情が聞けたかもしれないのにダメになっちゃうし、今夜か明日にでも聞いてみるだけ聞いてみよう。そう決めて息を一つ吐き、ランチは自分も仕事をこなす為にその場を離れた。
リンドウとキキョウが店番に入ったのは昼時の繁忙期が終わった時間帯だった。客足はまばらで比較的のんびりできる。慣れていないキキョウの事を考えてランチが割り振ってくれたのだろう、後で礼を言わなければとリンドウは思った。
それにしても店番に入ってからキキョウは一言も喋らないし、リンドウも何を言っていいのか分からず黙り込んでしまっている。無言の空間がどうにも気まずいし言いたい事も聞きたい事も色々あった筈だが、何をどう切り出せばいいのかが分からないし何を言っても冷たい対応が待っている気がして切り出しづらい。
「おい」
考えている間にキキョウから口を開いた。突然の事で心の準備も出来ておらずに思わず肩がびくついてしまう。
「……んだ、何ビクビクしてやがんだ」
「あっ、いえその、そういう訳ではなく……」
「もしかして昨日の事で一丁前に意識してやがんのか、きめぇな、ハハッ」
嘲られてかっと顔が熱くなる。昨日の今日だしあんな事はリンドウは初めてだったのだ、意識するなという方が無理というものだ。警戒されて当然だとはキキョウは思わないのだろうか、そちらの方が疑問だった。
「別におめぇに懸想してるとかそういう事じゃねぇから安心しな。オレぁ必要があれば誰とでも寝るんでね」
「……誰とでも、ですか?」
「必要ならな」
なんでもないことだと言わんばかりに飄々とキキョウは答えた。あんな事を誰とでも、今まで何人と。何十人、もしかしたら何百人の名も知らない人と同じなのだと言われ、それで問題はないのだと理解はしつつもどこかひっかかるものを感じてしまう。喉に刺さって飲み下せない魚の小骨のようにちくりと鬱陶しい感情だった。
「昨日は、どういう必要があったんですか……?」
聞きたかった事の一つをようやく切り出せた。リンドウはちらりと横を向いて返事を待つが、その視線を全く意に介さぬ様子でキキョウは眠そうにあくびを噛み殺した。
「必要っつうかなぁ……まぁ必要だったか。ああでもしねぇと苛ついて寢らんねぇからな」
「……そんなに苛立たせてしまった事はお詫びします。ですが、あんな事を……その、何がそんなに兄弟子を苛つかせてしまったのでしょうか。今後一緒にやっていくにあたって直さなければならないと思うのでご教示願えませんでしょうか」
軽く頭を下げて頼むが、それを見たキキョウはつまらなさそうに息を吐いた。
「そういうとこが苛つくっつうんだよ。もっと言うならてめぇの存在そのものが苛つくね」
存在そのもの。そんな事を言われても直しようがない。取り付く島のない返答が来るだろうとある程度覚悟はしていたものの、あまりにもどうしようもなさすぎてリンドウの胸の内にじわじわと黒い靄がかかる。どうすれば歩み寄ることができるのだろう、その道筋を見出したいのに探せば探すほど暗い靄に遮られる。
どうしてこんなにも頑なに拒絶されなければならないのだろう。存在そのものが気に食わないというなら、リンドウがここから消えれば気が済むのか。どうすればいいのか欠片も分からず絶望的な気持ちに陥ってしまう。
「……だがまぁ、それでもおめぇの反応の良さと具合は中々気に入ってんだぜ」
「ぐ……ぐあ……いっ」
恐らく性交の相性の良さの事を言っているという事は推察できる。耳や首まで熱くなるのを感じながらリンドウは俯いた。
「だからよ、オレがこのままここにいる条件を出してやるよ。おめぇがそれを呑めるってんならオレもおめぇが苛つくって理由でゴーマン商事には付かねぇって約束してやる」
言うとキキョウは口の端をにいっと上げ笑った。
「その……条件というのは……」
「オレの好きな時に好きなように抱かせろ。それだけだ、なんてこたぁねぇだろ?」
こちらの反応を面白がっているような笑みを浮かべたキキョウにそう宣告され、返す言葉に詰まってリンドウは黙り込んだ。ゴーマン商事側に付かれるのだけは避けたいが提示された条件は到底呑めるものではなかった。
もうあんな酷い目に合うのはご免だという気持ちの中にどこかに僅かにあんな快楽にまた浸りたいという気持ちがある。そんな自分が許せなかった。本来ああいった行為はパートナー同士が愛情を確かめ伝え合うために行われるものだ。必要さえあれば誰とでも寝るしこのマルシェに留まる条件として自分を抱かせろと言い出すキキョウの事がリンドウには全く理解できなかった。
だが。ここでリンドウが条件を呑めば、とりあえずキキョウはマルシェに留まってくれる。時間さえあれば、もっと話ができれば、見えなかったものも見えてくるかもしれない。ここで拒否すれば、その機会さえ失ってしまうかもしれない。分からないものを分からないと切り捨ててしまうのは、まるで魔法の存在を全否定する今の工業の国のようではないか。そんな在り様を変えていきたいと願うリンドウが分からないものを嫌悪感で切り捨てるのはきっと違うし、この全く理解できない兄弟子のことをどうにか理解してみたいという気持ちも強くある。
「分かり、ました……。好きにしてください。ただ、仕事中は流石に無理です。それから、他のメンバーにはそういう事はしないでください」
腹を括ってリンドウが低い声でそう答えると、キキョウは満足気に笑みを深めた。
「別にオレも必要もないのに誰彼構わずって訳じゃねぇ、おめぇ以外にゃ手は出さねぇよ。ただ、お前さんにゃその分満足するまで相手してもらうぜ?」
艶やかに笑んだキキョウにそう告げられ、思わず唾を飲み込んでごくりと喉が鳴る。キキョウが満足するまでというが、昨日のあれでもまだ満足していないというのだろうか。どれだけの恥辱と苦痛と望まぬ快楽を耐えなければならないのかと考えると目の前が真っ暗になりそうな心地がした。だが、条件を呑むと一度決めたのだ、その程度で翻すわけにはいかない。
「分かりました……気が済むまで、好きにしてもらって構いません」
「ハッ、見上げた心構えじゃねぇか。昨日あれだけもう許してだの何だの言ってたたぁ思えねぇな」
「それは……」
「いいぜ、おめぇが覚悟決めりゃそれだけそれをぶち壊す楽しみが出来るってこった」
楽しげに嘯き、キキョウはリンドウから視線を外して前を向いた。端正な横顔の輪郭、微かに開いた唇は艶めいて、蒼い瞳を縁取り色濃く影を落とす長い睫毛。惚れ惚れするような美しい人なのだと改めて気付かされる。成程床を共にしたいと考える者は男女問わず多くいるのだろう。そして必要があると思えばキキョウはその身を委ねてきたのだろう。リンドウとはあまりに縁遠い道行きだった。どんな思いだったのか、何を感じてきたのか、あまりに遠すぎて理解が及ばない。
リンドウに向けられる理由の分からない敵意もその隔たりに由来するものなのだろうか。他にもまだ色々聞いてみたい事はあったが、その後一人二人客が来始めたと思うとそのまま切れる事なく客足が続きその内に夕方の忙しい時間になりのんびり話をしている余裕はなかった。
そのまま閉店時間を迎え、夕食の後は翌日の仕込みをし、夜も更けた頃にようやく今日の仕事が終わる。だが恐らくリンドウにとって今日はまだ終わらない。あんな提案をしてきたのだから何かしらのアクションがある事は確定といっていいだろう。
気が重いのは確かなのだが、今日は何をされるのかという不安の中に微かだが確かに入り交じる期待めいたものを感じ、これではいけないと思い直す。流されてしまってはいけない、気を確かに持っていなければ。
深呼吸を一度して気を落ち着けてからゆっくりと居住スペースに足を踏み入れる。キキョウは昨日と同じ姿勢でベッドに横たわり入ってきたリンドウを見やった。
「大体分かってんだろ」
「……はい」
「話が早ぇな。じゃあとりあえず服脱いどけ」
手短に命じられ、リンドウは言われるまま服を脱ぎ始めた。明かりを点けているので肌を晒すことになるから気恥ずかしさはあるがそれを言うなら昨日全て見られているのだから今更というものだった。湧き上がる抵抗感を押さえつけてなるべく手早く服とブーツを脱いでいく。下着姿になったところで後ろで見ていたキキョウから声がかかった。
「全部脱げよ。メガネも外しとけ」
言われてぴたりと思考と手が止まる。いくら何でも流石に全裸の姿を晒すというのは恥ずかしすぎる。確かに昨日もっと恥ずかしい姿勢で見られたくない所は全部見られているのだが、だからといって抵抗がなくなったわけではない。だが躊躇していても始まらないだろうし、抵抗すればしたでキキョウが何をしてくるのかも分からない。何よりさっさと始めて早く終わらせたい。
落ち着くためにもう一度深呼吸をして、まずメガネを外してチェストの上に置いてから下着を脱ぐ。背後から感じる視線が背中に刺さるような感覚を覚える。穴を掘って入りたくなるような居たたまれなさと恥ずかしさを堪えて上半身を捻りリンドウが振り向くと、キキョウは満足気に笑ってベッドの空きスペースをぽんぽんと手で叩いて示してみせた。
「来いよ」
緊張から唾を飲み込んでしまいごくりと喉が鳴る。眼鏡を外して視界はぼんやりとしているからか羞恥は幾分和らいだ。確実に見られていると思うと今でも穴の中に入りたい心地だ。しかし、自分の視界がはっきりしなくなれば相手からの視線も気にならなくなっていくのは妙な話だが今はそれに助けられている。素足のままリンドウはベッドへと歩いていき縁に腰掛けた。すると後ろのキキョウが腕を上げた気配がして、次の瞬間には両目の辺りにふわりと布がかかり、後ろで結ばれた。
「あの、兄弟子、何を……?」
「好きにしていいって約束だったよな、どうせ後で嫌でもさんざっぱら声出すことになるんだ、ちょっと黙ってろ」
言いながらキキョウはリンドウをベッドに寝かせ、腹の上で一纏めにした手首に紐を巻き付け縛る。何をされるのか分からず流石に危機感が募るが、喋るなと言われている以上逆らえばそれなりの報復が待っている気がして口を開けない。ぴんと張り詰めた緊張感の中で何をされるのか警戒していると、キキョウの手が身体を離れ位置が分からなくなる。
眼鏡を外せばぼんやりとしか見えなくなるとはいえ視界を遮られるのとは訳が違う。どこからどう何が近付いてくるのかすら分からない状況で、聴覚がいやに過敏になって自身の浅い呼吸の音を逐一拾ってしまう。一秒が何分にも感じられる息詰まる空気の中で、キキョウの着物の衣擦れの音だけが唯一リンドウが相手の存在を知覚できる手がかりだった。
もしかするとまだそんなに時間は経っていないのかもしれないが、リンドウにとっては随分長く待っているような感覚がある。さすがに堪えきれなくなってキキョウの名を呼ぼうとした時だった、急に脇腹をそろりと指先で撫で上げられる。
「は……っ、あ……っ!」
くすぐったさとよく似ているがどこか違う、もどかしさを伴う感覚が身体を走り抜ける。触るか触らぬかの微妙な指使いで撫でられると、たまらずリンドウは身悶えた。不意を突かれたとはいえいくら何でも指先の感触を触覚が鋭敏に捉えすぎているのは目隠しをされて視覚を遮られたせいなのだろうか。
「くくっ、思った通りの反応すぎて笑えんな。何なら今日は脇腹だけでイッてみるか?」
「あ……は、んんっ……そん、なの……無理……ううっ」
執拗に両脇腹を責め立てられ、逃れようと身体を捩っても逃れられず息が上がる。キキョウの腕に手をかけて遮ろうにも両手首を縛られて動きがとれない。今すぐ逃れてしまいたいのに身体はもっとはっきりした刺激を求め始めている。息が詰まって上手く吐き出せない。
「おめぇ、こんだけでもう腰は揺れてるわ半勃ちだわ……感度良すぎんだろ、もうこのままここだけでイッちまえよ」
熱を帯びた低い声が耳元に急にかかる。キキョウは片腕をベッドに立てているのか片側は刺激が止んだがもう片方は依然として撫で擦られ続けていて、休む間もない。
「ああっ……あっ、嫌、です……」
「何が嫌なんだよ、はっきり言ってみな」
「むっ、無理、くる……しい、です……は……ぁあっ!」
「そういうのが好きなんだろ? でなきゃこんなにしねぇよな?」
楽しげなからかい口調の声でキキョウが言うと知らぬ間に質量を増し上を向いていたものが指で弾かれる。突然与えられた衝撃にリンドウの身体はぞくりと震え、腰が跳ねる。
「はっ……! あっ……あぁ……っ」
指で弾かれただけだというのにはしたなく声を上げてしまう己の情けなさが心の中を陰鬱にするが、それ以上にその部分にそれ以上刺激が与えられないことがもどかしくて勝手に腰が揺れてしまうのがたまらなく嫌だった。脇腹責めはまだ続いているが、与えられる刺激は息を詰まらせるものの達するにはあまりにも物足りず、もっとはっきりした直接的な刺激を身体が求めてしまっていることに心が着いていけずに違う嫌だという言葉ばかりがぐるぐると頭の中を回り続ける。
「さすがにここだけじゃイケねぇか。おい、次はどこいじられてぇんだ? 言ってみろよ」
「は……そん、なの……んっ……言え、ませ…………」
「そうかよ。まぁいいけどよ、一番触ってほしいとこはちゃんと言うまで触んねぇからな」
そう告げるとキキョウはリンドウの両腕を持ち上げ頭の上まで上げて、左脇に顔を埋めた。脇毛の上からねっとりと脇を舐めあげ、わざとだろうかじゅぷりと卑猥な水音を響かせる。
「あっ……、あ兄弟子っ……、そんな、とこっ……はあぁっ、ああっ!」
脇を閉じようと腕を下ろそうとするがキキョウの頭につかえてしまって押し合いになるが、弱い脇を責められて腕にうまく力の入らないリンドウがキキョウの頭を押しのけることなど元から出来るはずもなかった。舌が這いずる度に甘やかな痺れのようなものが身体を震わせて、どんどん思考が朧気になっていく。喉から漏れる甘い声はもう止めようもなかった。
その内、胸板の辺りを指が這い回ったかと思うと既に痛いほどぴんと立ち上がっていた乳首を指の先できゅっと摘まれる。
「ああっ、あっ、は……んっ、うぅ……んんっ」
ぴちゃぴちゃと響く水音は視界が遮られているせいかいやに耳に響いて、脳髄を痺れさせる。もどかしくて耐えきれないほどの熱が下腹の辺りに蟠っていて、動かしたくないと思っていても勝手にうねるように腰が揺れる。二箇所を同時に責め立てられて感じる快感は許容量を超えて溢れ出してしまいそうで頭の中はもう早く達してしまいたいというそれだけになっているのに、肝心なところへの刺激が与えられずにいるために意識がどんどん上へ上へと押し上げられて熱がこもっていくばかりで解放されない。いつまでこの責め苦が続くのか想像もつかず、リンドウはすっかり疲弊しきって息も絶え絶えになり、キキョウに伸し掛かられていた下からなんとか抵抗しようとばたつかせていた脚もすっかりだらんと伸び切ってしまった。
「どうした? すっかり大人しくなっちまったじゃねぇか」
「ぐっ……ああ……っ」
捏ねくり回されてぷくりと腫れた乳頭に軽く爪を立てられて高い声を漏らしてしまう。視界が遮られているから見えないが、リンドウを見下ろすキキョウの表情は大体想像が付く。だがどんな目で見られても仕方がないような醜態を今晒してしまっているのも事実だった。気力などどろどろに蕩かされてしまい何を言われてもされても今は逆らう気力など起きそうになかった。
「おら、休んでんじゃねぇぞ」
そう言うとキキョウはリンドウの両肩の辺りを掴んで上体を起こさせた。そして苦しい息を整えようと半開きで浅い呼吸を繰り返していた口に、何か熱く太く硬いものが無理矢理捩じ込まれてくる。突然の出来事に何が起こったのかと事態を把握できないでいるリンドウの口中に塩気の混じった独特の味が広がる。
「んんん、んぶっ……んんーっ!」
「歯ァ立てたらぶっ殺すぞ、しっかり口開けよ」
その言葉を聞き終わるか終わらないかの内に口の中に含まされたものが喉奥まで急に突き入れられる。強い嘔吐感がこみ上げるがそれを訴える間もなく剛直は半ばまで引き抜かれてから喉奥まで突き入れられる動きを何度も何度も繰り返す。まともな呼吸が出来ず、必死に息を吸い込んだ鼻の中はむわりとした熱気を纏った雄の臭いで満たされる。
「休んでんじゃねぇっつったろうが、舌ぁ動かせ。しっかり舐めんだよ」
最早逆らったり無視したりという考えなど微塵も浮かばず言われるがままリンドウは辿々しく舌を動かし始めた。舌を通じてじんわりと伝わってくる脈動と硬さと熱に頭がくらくらと熱が伝染したように朦朧としてくる。
「ふん、ヘタクソすぎんがそういうのもたまにゃ悪くねぇな……おら、もっとちゃんとしゃぶれ」
「んぶっ…………んっ……んふ……っ、んんんっ……」
キキョウに命じられるまま訳も分からずにリンドウは必死にねぶる舌を動かし続けた。開きっぱなしの顎が疲れきってもう閉じさせてほしいと悲鳴を上げるが、力強く脈を打ち硬さと質量を増すものに阻まれて口を閉じる事は叶わない。
「クッ……そろそろっ、出すぞ、溢さねぇで全部飲めよ……っ」
そう告げてキキョウは腰をリンドウの顔にぐっと押し付け、限界まで滾ったものをより深くまで突き入れた。
「んんんっ、んんーっ!」
次の瞬間、口の中のものが大きく脈打ちしなったかと思うと熱い奔流が喉の奥に叩きつけられるように流れ込んでくる。懸命に嘔吐反応を堪えて飲み下そうとするものの喉にひっかかりうまく飲み下せずに口の中に粘ついた液体が張り付くが、吐精は二度三度と続いて口腔内がじわじわと染み入るような苦味と生臭く青臭い臭いで一杯に満たされる。
出し切ったものをキキョウが引き抜くと、一緒に口の中に残っていた精液が唇と顎を伝ってとろりと零れ落ちる。それをキキョウが指先で掬いリンドウの口中に擦り付ける。
「溢すなっつったろ」
「んぐ……ふ……っ、んん……」
どうにか口の中のものを全部飲み切り、ようやく解放された口から咳き込みつつも大きく息を吸って吐いていると、両肩を軽く掴まれて今度は熱い舌先が耳の骨をなぞる。すっかり放心しきったリンドウの身体にはもう何の力も入らないのに、快感にはいやに忠実に反応する。その事実に恨みがましい気持ちが湧くが、最早抵抗する気も起きずに弱々しい喘ぎ声を漏らすしかできない。
「あ……はぁっ……あぁっ……」
「ここも好きなのかよ。どこ触っても感じまくりとか、ほんっといやらしい身体してんなおめぇは」
「ち、ちが……あうっ……」
耳朶を甘く食まれぞくりと背筋が震える。どう否定しようとも現実として身体は反応してしまっているし、脳を白く焼くような快感が身体だけでなく思考まで支配してしまって、一刻も早く吐き出して解放されたいという思いしかなくなっていく。自分がこんなにも快楽に弱い人間だとは今まで知らなかったし、知らないままでいたかった。ただ翻弄されるがままのだらしなさ不甲斐なさに歯噛みしたい気持ちだけれども、現実は歯を食いしばるどころかだらんと口を開き甘い声を漏らしている。心身を侵食され支配されて弄ばれているようなままならない感覚が心を暗く追い詰め、高ぶった感情が溢れ出し零れ落ちて涙になって流れて目隠しの布を濡らした。
「ううっ……ぐっ……ううっく……」
「……なんだおめぇ、また泣いてんのか。どうした、あんまり良すぎてたまんなくなっちまったか?」
「ちがっ……ううっ……ふっ……く」
何の涙なのかなど最早リンドウ自身にも分からないが嗚咽は止まらなかった。頭の中はぐちゃぐちゃに混乱しきっていて、叫び出したい衝動に駆られるのに口からどんな言葉を発すればいいのか分からない。
「どうしてほしいかさっさと言わねぇといつまで経っても終わんねぇぞ。オレぁそれでも一向に構わねぇけどな」
耳元で甘く囁く声もどこか遠く感じられる。もう限界だった。この昂りから解放されなければ次の瞬間にも気が触れてしまいそうだった。首筋を舌先がゆっくりと這い回る感触を感じ取りぞくぞくと背筋を震わせながらなんとか口を開く。
「うぐっ……ふ、も、もう……イキたい……です」
「どうしてほしいか言えってんだろ、てめぇがイくにはどうすりゃいいんだ?」
キキョウの冷たい声色が容赦なく告げる。喉元から顎にかけてをキキョウの指先がつつっとなぞるなんということもないような動作の感触さえ甘やかな疼きを下腹に堆積させていく。口に出すなど普段のリンドウならば考えもよらないはしたない言葉だが、言わなければこの状況から解放されることはない。解き放たれたい一心でリンドウは再度口を開いた。
「ん……は……っ、お、おちんちんを……触って、ほしいです……」
口にすると汗にまみれた身体がかぁっと熱を帯びるのが分かった。今すぐここから消えてなくなってしまいたい程に恥ずかしい。目隠しをされているせいでキキョウがどんな顔をして聞いているのか分からないのが数少ない救いだったかもしれない。
「そうかよ」
キキョウの返事を聞きこれでようやくこの苦しさから解放されるとリンドウは息をついたが、どういう訳かキキョウはリンドウの身体をひっくり返してうつ伏せの姿勢を取らせると腰を掴んで持ち上げた。膝を立て尻を突き出した格好を取らされ、リンドウの頭の中は再度混乱する。
「な、何を……? 兄弟子……どうして、こんな……」
「悪ぃが気が変わっちまってなぁ。おめぇをもっとヒィヒィ泣かせたくてたまんねぇんだよ」
臀部の割れ目に熱く硬いものが擦り付けられる。嫌だ、流石に何をされるのかすぐに理解したリンドウは必死に力を振り絞って逃れようとするが腰をがっちりと掴まれて前に進まない膝はただばたつくだけだった。
「おいおい、こんなにひくつかせて欲しがっておねだりか? そんなに早くぶち込んでほしいのかよ」
「ちがっ、違います……っ! 嫌だ、ああっ……!」
「昨日一回されただけですっかり味をしめちまうたぁ、隅から隅までいやらしい身体だなおめぇはよ」
硬いものが擦り付けられて塗り込まれる先走りのぬめった感触を感じ取り、まるで待ちきれないとでもいうように自分が入り口をひくつかせてしまっている事をリンドウ自身も感じ取り意識してしまう。嫌だ、求めてなどいない、そう思っているはずなのにどこかに期待も入り混じっているのが感じられてしまい苦しくて息が詰まる。そうこうしている内に先端がめり込むように割り入ってきて、慣らしてもいない乾いた菊座は昨日同様裂けてしまいそうな痛みに襲われる。
「うぐっ……ぐ、あぁっ……は、いた、いたい……ですっ……も……」
「そんなに……締め付けんなっ……、入らねぇだろうが……あぁっ?」
乾いた声で告げながらキキョウはリンドウの腰を一気に引き寄せ、無理矢理中へと割り入ってくる。
「ああああっ、あ……いぐっ……ふ…………ううっ……」
「もう離さねぇってくらい締め付けてんぞ、そんなにこれが欲しかったのかよ」
「ちがいっ、うあぁっ……ああ、ああっ」
叩きつけるような乱暴な抽送が繰り返され、否定の言葉は内側を抉られる度漏れる喘ぎ声に全て掻き消される。リンドウの事など何も考えていないであろう一方的で身勝手なまぐわいだった。それなのに突き上げられ内壁を擦られる度に甘やいだ電流めいたものが背中を走り抜けて、腿の筋肉に力がかかって張り詰める。まるで絶頂に達しようとしている時の状態のようで、昨日に続いてこんな何の愛情も労りもない欲望を満たすだけが目的のような交わりで快感を得てしまっている自分を感じ、情けなさで消え入りたくなる。いくら己の情けなさ不甲斐なさを恥じたところでそんな事はお構いなしに身体は徐々に絶頂へと押し上げられつつあった。
「あぅっ……はっ……ああ、あっ、んぁあっ、ああっ……」
「すっかり感じまくってんじゃねぇか、ここもキュウキュウ絡みついてきてんぞ」
「やっ、あっ、ああっ……は、ううっ、あああっ!」
「んっ……は、すげえ締まんな……こういうの言われると燃えるタイプかよ」
「ちが、あっ、ああっ、あっあっ、あうぅっ……!」
ベッドに突っ伏して口の端から涎を垂らし、まるで犬のような格好で善がっているのが今の自分の姿なのだと認めたくなかった。それなのに身体はもう限界寸前で、絶頂を迎えようとして睾丸がキュゥッとなる感覚を覚える。後ろの穴だけで達してしまうなんてそれだけはどうしても嫌だったが、最早逃げ場などなかった。
「も……あぐっ、あっ、も……いっ……ああっ」
「……なんだおめぇ、もしかしてイキそうなのかよ。いいぜ、イかせてやるよ」
「いやだ……っ、あっ、あっ、あぐっ、んうっ、ああっ!」
ぐっと腰を引き寄せられ、叩き付けられるような抽送が速度と激しさを増す。意思とは関係なく無理矢理高みに引き上げられていってしまう感覚が恐ろしかった。ふわふわと真っ白な宙にでも浮いているような心地になってこうして無理矢理に激しく抉られるのにさえ快楽を感じてしまっている感覚が指の先まで染み渡る。何か知らない色で自分を塗り潰されてしまったようで、違うのにと心は必死に叫ぶけれどもそんなことはお構いなしに身体はどんどん登り詰めていく。
「おら……っ、もう、イけよ……っ!」
腰を掴むキキョウの手に一層力がこもり、ずんずんと無遠慮に最奥を突かれる。出したくない、それだけを必死に念じているのに身体は呆気なく限界に達して、その瞬間を迎えてしまう。
「やっ、いやだっ、イキたくなっ、あ、ああぁ……っ! ああ……んっ……」
「あーあ、出しちまったなぁ、後ろの穴でイった気分はどんなんだよ?」
大量の精液が尿道を伝ってシーツへと吐き出されていくのを自慰では味わった事のない蕩けるような恍惚と共に感じ、リンドウは身体を震わせた。後ろの穴を犯されて絶頂させられてしまったという屈辱すら、今は頭の芯を甘く痺れさせるに過ぎなかった。余韻に浸りたくても後ろからの突き上げは緩むどころか激しくなっていくばかりで、吐精したばかりの力の抜けた身体が強制的にまた高みに引き上げられていく。
「そんな、締めんなって……んんっ、……そろそろ、出すぞ……っ」
そう言うのと同時にキキョウは腰を深く打ち付け、中で大きく膨らんだと感じた次の瞬間には腹の中を焼けそうなほど熱いものが満たしていた。身体の内側に感じるその熱さに脳髄まで焼かれたような錯覚に陥り、もう何も考えられないまま幾度となくリンドウは身体を震わせた。
「はぁっ……あ、はぁ……っ、ああっ……」
「そんなに好きかよ、中に出されんの……じゃあ、もっと出してやるよ」
精を吐き終わった筈のキキョウの男茎は硬度を保ったままで、楽しげなキキョウの声と共にまたリンドウの中を掻き回し始める。抜き挿しの度に注ぎ込まれた精液が引っ掻き出されて溢れ、じゅぶじゅぶと淫猥な水音を立てる。限界だ、これ以上は無理だ、突き上げられる度に生まれどんどん脳髄を侵していく悦楽は高まっていくばかりで、もうとっくに許容量など超えてしまっている。力の入らない腕で必死にシーツにしがみつき後ろから突かれ揺さぶられて、視界は眩みもう何を考える力も残っていない。
「はっ……、も…………むり……は、っあ……やめっ……」
「ハッ、いいザマだな。こうなる覚悟もしてたんじゃなかったのかよ。悪ぃがオレが満足するまでやめねぇよ」
「そんなっ……あ、あっ、ああっ……は、ああっ……」
非情な宣告にリンドウの心は絶望に包まれる。キキョウの心が分からない。面白がっているのか憎いのか、それだけではないのか、身体が繋がればそれだけ心が遠ざかっていく気がした。何も理由がないのにこんな辱めを人に与える人であってほしくない、そんな自分の願望を投影しているだけではないのか。ますます分からなくなっていくしそんな事を考えるような余裕もリンドウにはない。
二度三度と精を注ぎ込まれ、ようやく解放されたリンドウはすぐに深い眠りに落ちていった。
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