束縛と解放

 夕刻の街を、心持ち軽い足取りで待ち合わせの場所へとリンドウは向かっていた。まんぷくマルシェとゴーマン商事のファン争奪バトルが終わってから一年が経ち、今は皆それぞれの道を歩いている。リンドウは基本的にはキッチンカーで各地を回り和菓子を売りながら、時折他の店に手伝いとして入って修行し学ぶという日々を送っていた。世界は新しいものや知らぬものに満ち満ちていて、どこで何をしても新しい発見や学びがある。毎日が充実しているが、これも世界樹のマルシェからの仲間たちとの日々で学んだ事があればこそなのだろうと思う。マニュアル通りの型に嵌まった考え方しかできなかったリンドウは、そうでなければ今も手本通りの和菓子しか作れずにいただろう。リンドウの成長の為には師匠の言う通り人との出会いが必要で、そしてリンドウはその出会いに恵まれた。ありがたい事だと思う。
 今日会うのはそうして出会った人の中の一人だ。出会いは最悪で、時を共にしてもなかなか心を開いてもらえないのがもどかしくて、でも仕事にかける情熱と天性の才能が本物である事がとても羨ましくて、態度からは想像も付かない繊細さや優しさを知って、気付けばいつしか心の内の大部分を占拠してしまっていた人。
 事あるごとに連絡は取り合っているが、会うのは数カ月ぶりだった。待ち合わせ場所が近づいてくるにつれて歩みは速くなり、小走り気味に駆け寄るとその人はもう待ち合わせ場所に立ち腕を組んで道行く人を気怠げな目でぼんやりと眺めていた。
「兄弟子!」
 弾んだ声をかけるとキキョウはゆっくりとこちらを向き、うっすらと笑んでみせた。
「よう、久し振りだな、変わりねぇか」
「ええ、兄弟子はどうですか?」
「まあぼちぼちってとこだ。行くぞ」
 言うなりキキョウはリンドウの手を取り足早に歩き出した。慌ててリンドウも歩調を合わせる。
「あの、兄弟子? 夕飯はもう済まされたのですか? それとももう店を決めてらっしゃるのですか?」
 質問を投げ掛けるとぐいと強く手首を引かれ前に大きく踏み出す形になり、耳許にキキョウの息がかかる。
「言わせんな、もう我慢できねぇんだよ。飯なんざ後でいい。宿はとってある」
 早口に低く呟くとキキョウは前に向き直り、また早足で歩き出した。熱い息のかかった耳から顔中に熱が伝搬し、リンドウは俯きがちにその後を追った。逸る気持ちは分かるが、せっかくの久し振りの逢瀬をもっとゆっくり楽しんでくれてもいいのではないかという気持ちも湧く。
 言ったところで馬耳東風なのは分かり切っているから文句を言おうという気持ちは起こらないが、僅かな不満、というよりは残念な気持ちは蟠る。だがキキョウがこういう男なのは元から分かっている事だし、そういう所にも惹かれているのだし、何よりこんなに急ぎ足にならなければならないほど求められているのだという事実が恥ずかしくも嬉しくもあった。
 宿は待ち合わせ場所からほど近い場所にあった。強引にリンドウの手首を掴み引いたまま部屋に辿り着くとキキョウはリンドウを先に部屋の中に押し込め、後から入ってドアを閉め鍵をかけた。
 さすがにそれだけは粗雑に扱うのは気が引けるのかリンドウの腰からそっと打刀と脇差を抜き取ると据え付けのテーブルの上に置き、後は荒々しく乱暴に唇を合わせながら服を脱がしにかかってくる。キキョウの肩に手をかけ引き剥がし少し距離を置くと、リンドウはようやく息をついた。
「ちょっ、ちょっと待ってください兄弟子」
「んだよ、二人の時はその呼び方はやめろっつったろうが」
「何もそんなに急がなくても……逃げたりしませんから」
「だめだ、今すぐおめぇを抱きてぇ」
 そう言うとそれ以上の反論を遮るようにキキョウはまた唇を合わせてきて、じれったさそうに舌を伸ばして口内を舐り回す。数カ月ぶりの感覚は震えがくる程の陶酔をもたらして、リンドウもすぐに為されるがままに絡みついてくる舌に舌を擦り合わせ、そこから生まれる甘やかな快感に身を浸す。上衣はあっという間に脱がされて床に滑り落ち、熱い掌が胸から肩にかけてをまさぐる。
「ちょっと後ろ向け」
 ようやく唇を離したキキョウにそう告げられ、発言の意図が分からずにリンドウは怪訝そうに首を傾げた。
「……どうしてですか?」
「いいから早くしろ」
 強い口調で迫られて腑に落ちないながらもリンドウはキキョウに背中を見せた。背筋に唇が落ち、ねっとり湿った舌先に舐め上げられる。
「は……あ、あっ……」
 思わず上擦った声が漏れるが、背筋への愛撫に意識が向いている間にリンドウの手首は後ろ手に縄で縛られていた。
「キキョウさ……なんで、縛って……」
「今日はちょっとした趣向を試してみようと思ってよ。自分で解かれたら困るからな」
「解くって、何を……あっ」
 質問に答えないままリンドウの肩がキキョウに押され横のベッドに身体が倒れ込む。足元に屈んだキキョウは手早くブーツの紐を解くと脱がせ、もう待ちきれないといった急いた様子で下衣と下着も剥ぎ取って放ってしまう。そして芯を持ち硬くなり始めているリンドウの陰茎の根元に取り出した細い紐を巻き付け、蝶結びで留めた。
「ちょっ……キキョウさんっ、何をしているんですか!」
「安心しろよ、めちゃくちゃ気持ちよくしてやるから」
「そういう事ではなく! 何故そこを縛るんですか!」
「そりゃおめぇ、今まで味わった事ねぇ位気持ちよくさせてやるために決まってんだろ」
 楽しげに笑んだキキョウの表情を見てリンドウは悟った、これは何を言っても話が通じないだろうと。こうなった以上はキキョウの好きにさせる他はない事は今までの経験上良く知っている。今日はどれほどの痴態を晒すことになってしまうのかと考えると気が重いが、こうなってしまった以上身を委ねる以外の選択肢はなさそうだった。ベッドに上がったキキョウはリンドウの上に伸し掛かり、耳許に口を寄せる。
「それとも、気持ちよくなるのは嫌か?」
「嫌では……ないですが」
「だよなぁ、ほんといやらしい身体してるもんなぁ」
「そういう言い方は……やめてください……」
 頬を朱に染めて顔を背けたリンドウの耳から頬へと口付けを落として、ベッドに付いた方の頬に手を差し入れて顔を上向かせると、キキョウは鼻の頭を軽く擦り合わせながら短いキスをした。
「褒めてんだよ。毎晩抱いても飽きねぇのに何ヶ月もお預け食わされてんだ、少しは察しろよ」
「すみません……どうも、そういう事は、不得手で……」
「おめぇは? 会えなかった間、オレが欲しくなかったのかよ?」
「欲しかった……です」
 頬から降りた手が首筋を撫で鎖骨をなぞる。数カ月ぶりに感じるその感触は確かに待ち望んでいたもので、欲しくてたまらなかったものだ。
「あっ……ん……」
「どれくらいオレの事考えて抜いてた? 毎日しねえと収まらなかったんじゃねえのか?」
「そん、な……毎日なんて、してませ……っ」
「ふぅん、じゃあオレとするの想像して抜いた事もあるってこったな」
「そんなの……あっ! そこ、あぁっ……!」
 胸板を滑っていた手は既に硬くしこった乳首を捉えくにくにと弄んでは押し潰し軽く爪を立てる。軽く触れられただけで高い声を上げてしまったリンドウはたまらないといった様子で肩を揺すり身悶えた。
「一人でしてた時も触ってたんだろ、ここ。こうされんの好きだもんな」
「触って、な……はぁっ、んっ!」
 リンドウの言い訳など耳に入っていない様子でもう片方の乳首をキキョウは口に含んだ。舌で転がし吸い、軽く歯を立てる。数ヶ月振りの逢瀬のためかリンドウの反応は大きく、とろんと潤んだ目を宙空に投げて首を幾度も振り身を捩る。
「はっ……あぁっ、も……痛い、からっ…………解いて、くださ……」
 痛切な声でリンドウが訴えるがキキョウはリンドウの顔をちらりと覗くと再び目線を落として舌先で乳頭をぐるりとくすぐる。半勃ちの状態で根元に巻かれた紐は血が集まり質量を増した陰茎を圧迫し食い込んでいた。
「ダメだ」
「そんな……っ、どう、して……っ」
「オレがイッたら解いてやるよ」
「も、無理です……っ! 痛く、てっ……ああっ!」
 少し強く力を込めて乳首に歯を立てると、リンドウの背が弓なりに撓り高い声が上がった。ひりひりと痛みを感じているであろう箇所を労るように優しく舐め回すと、鼻にかかった甘い声が間断なく上がる。
 紐を解こうにもキキョウを振り切ろうにも後ろ手に縛られている状態ではリンドウは抵抗の一つもできはしない。根元に鈍い痛みを感じながらもどんどん質量を増す男茎の先から染み出し溢れ零れた先走りの蜜が竿を濡れそぼらせていた。執拗な乳首への愛撫が続き、射精への欲求がどんどん高まっていって腰が勝手に浮き上がる。
「あっ、も……イキたい……っ! イキそ……だからっ…………解いて、くださ……っ!」
 切羽詰まった声のリンドウの哀願を聞き、キキョウは頭を上げリンドウの眼を見てにぃっと笑った。腹の辺りに手を差し入れ、指先で臍をぐるりと刺激する。
「ぐっ、あ、ああっ! あっ……あ……ううっ…………んっ」
 絶頂の感覚が頭の中を真っ白に塗り潰すが、精を放つ放出感と解放感はなく身体を支配する快感による息苦しさはかえって増していた。この昂ぶりから解放されたいのに根元を縛る紐に圧迫され堰き止められているのか白濁が放たれることはなく、一刻も早く解放されたいという思いだけがどんどん募る。
「キキョウさ……あっ、出した、いっ……解いて、くださ……」
「さっきオレがイくまで解かねぇっつったろ。今日はいっぱいイかせてやるよ、このままな」
「そんな、いやです……っ、んんっ!」
 文句を言い募ろうとした口は男茎を軽く掴まれ走った快感に封じ込められる。息苦しさに開いたままの口にキキョウが唇を重ね、竿を緩やかに扱きながら舌を伸ばして口腔内を舐り回してくる。粘ついた先走りの汁が立てるぐちゅぐちゅという淫猥な音が耳を犯し、与えられる快感は射精への衝動を駆り立てるばかりで、息が詰まり勝手に腰が揺らめく。
「もっ……くるし……っ…………んぁっ、は……おねがい、ですから……っ」
「何言ってんだよ、まだまだこれからだろ」
 口を離し身体を起こしたキキョウは楽しげに笑って告げた。情欲の光が鋭く宿る眼光はリンドウを捉えて離さない。その視線を浴びてぞくりとすることすら興奮を高めて射精への欲求を強めるのに、一向に解放される気配はないどころかまだまだキキョウはこの状態を楽しむつもりらしかった。
「そんな、もうっ……無理です……っ、あっ、ああっ!」
 黙れとでも言わんばかりに竿を扱くキキョウの手の親指が若干の力を込めて裏筋をなぞり、突然襲い来た強烈な快感に高い声が上がってしまう。目を潤ませ荒い息を吐くリンドウを満足気に眺めるとキキョウはリンドウの脚の間へと顔を埋めた。男茎に手をかけると時折ぴくぴくと跳ね上がる竿の部分を唇で挟み込みやわやわと刺激し、離しては少しずれた場所をまた食むのを繰り返す。その緩やかな刺激が物足りなくなってきた頃合いに舌先が裏筋を舐め上げて雁首をねっとりと舐め回し、もたらされる快感が一気に強まって鼓動が強まる。
「はっ、あ、ああぁっ……! まっ、また……イキそ、だから……っ、も……解いてっ……くださ……」
「ダメだっつってんだろ」
「おねがい、です……っ、あっ、も、出したい……早く、出したい……からぁっ!」
 堪えきれぬように腰を揺らすリンドウの哀願を無視して、キキョウは亀頭を口に含み一頻り舐め回すと先端から滴り続ける汁をわざと音を立てて吸い上げ、先端に舌の先を突き入れ円を描くように刺激する。
「はっあ、やっ……も、またっ……! イク……っ、そんなに、されたら……っ! やぁっ、も、出したっ、出したいっ、から……っ!」
 もうほぼ悲鳴に変わったリンドウの声をよそに、キキョウの口はリンドウの屹立をどんどん呑み込んでいく。粘膜の柔らかい湿った温かさに包まれただけでももう堪らないのに、口を窄めたキキョウは唇と頬肉で男茎を扱きながら舌を絡め、感じやすい場所を責め立ててくる。脱力する間もなく絶頂の感覚が幾度も止め処なく押し寄せてきて、終わりの見えない快感の奔流に支配されたリンドウは最早身体を幾度も大きくびくつかせ意味を成さない嬌声を発するだけしかできなくなった。
 それだけでもう解放の当てもなく気が違ってしまいそうなほど狂おしい悦楽に押し潰されそうになっているのに、空いているキキョウの左手が陰嚢を幾度か柔らかく揉んで会陰部に降り、指先で押し込んで刺激を与えながら後孔に辿り着き、つぷりと差し入れられる。受け入れる事に散々慣らされた後孔は数カ月振りだというのにすんなりと指先を迎え入れた。口淫によって屹立に与え続けられる絶頂感と窄まりを解すように動き回る指先の感触が何も考えられなくなっていた頭の中をますます掻き乱す。
「おねがっ……も……! 出させっ……出した……ああっ! やっ、こんな……も、無理っ……出した、いぃっ!」
 盛んに身を捩って首を振り快感を逃がそうとしてもどこにも行きはせず全身を苛み続ける。後孔に埋められる指先が二本三本と増える度に硬く熱いものに刺し貫かれる瞬間の事を思いぞくぞくと背筋が震える。狭い箇所を押し広げようとうねうねと動き回っていた三本の指先を引き抜くとキキョウは顔を上げ、幾分上気した頬の上のぎらついた眼光を隠そうともせずリンドウを見た。
「な……もう、挿れていいだろ」
「その、前に……解いて、ください……も、苦しくて……っ」
「だからそれはダメだっつってんだろ。オレがイッたらちゃんと解いてやるからよ」
「そんな……あぁっ!」
 窄まりに熱く硬い先端が押し当てられ、思わず腰が跳ねる。熱いものを身体の奥深く迎え入れる期待といつまで経っても果たされない放出への欲求が頭の中をぐちゃぐちゃに掻き乱して、誘い込むように腰が前後に揺れるのを押し止める理性などとうの昔に吹き飛んでいた。
「おめぇが悪ぃんだぜ、ちょっといじめてやるとすぐそんなたまんねぇ顔するから」
「そんな……事、言われても……うっ……ふ」
「ああ、泣かせてぇなぁ……オレの事しか考えられねぇようにしてやりてぇ」
「もう……なってます、から……」
 キキョウを見上げる熱っぽい瞳の揺らぎはキキョウの胸に熱いものをこみ上げさせる。欲しい、欲しくてたまらない。何もかもを奪い去りたくなって、柔らかく優しく口付ける。触れては離れまた触れる口付けを幾度も繰り返しながら腰を進め、制御の効かぬほど昂ぶり滾った欲望の証を埋めていく。
「はっ、あ、あぁっ! ききょ……さっ!」
「ああ……いいぜ、おめえん中……っ、やっぱ、たまんねぇな……」
「ううっ、は、あぁ……っ」
 焦らしているのかじりじりと進んでくる熱い塊に身体の中を満たされていく感覚に、リンドウの全身が喜びで震える。痺れにも似てもっと甘い歓喜の感覚が、この熱さをずっと待ち望んでいたのだと否が応にも知らせてくる。じっくりと時間をかけて内側へ進んでくるのが焦れったくなり両脚をキキョウの腰にかけて引き寄せると、キキョウが喉の奥でくくっと笑った。
「そんなに待ちきれねぇのか?」
「早く……っ、欲しい、です……」
「しょうがねぇなぁ」
 呆れたように口の端を上げて笑うと、キキョウは両手でリンドウの腰を掴み力を込めて引き寄せた。半ばまで入っていたものが一気に根元まで挿し込まれる。
「ああぁっ! あ、はぁっ……あ」
「そう急かさなくてもすぐ犯し倒してやるよ、久し振りだからオレも抑えなんざ利かねぇぞ」
 荒い息の間からそう告げて、キキョウは強く腰を打ち付け始めた。キキョウ自身も言っていた通りその動きは抑えが利いていないようで、荒々しく激しかった。激しく揺さぶられ硬く太い肉茎で内側を抉られ弱い箇所を責め立てられる度に首が仰け反り鼻から甘く高い声が漏れる。
「ったく……このオレがよ、律儀に何ヶ月もしてなかったんだから……感謝しろよな」
「はっ、あうっ、んんっ……ありがとう、ございま……っ、ああっ!」
「もっと、こまめに……会うように、した方がいいな……、でねぇと、毎回こうなっちまうぞ……っ」
「こんなっ、はげし、の……っ、すぐ、イッちゃ……はっ、ああっ、もっ、イクッ……イキそ、で……っ!」
「ふぅん……じゃあ、こうしたら……どうなっかな?」
 目を細めてにぃっと笑うとキキョウはリンドウの腰から右手を離し奥へと伸ばす。硬さを保ち続けていたものにそっと触れられるだけで身体が跳ねる。
「やっ、やめ、ああっ、前、さわら……ないでっ……くださ、ああぁっ!」
「こっちもいじってやんねぇと、寂しいだろ?」
 言いながらキキョウは左腕でリンドウの右脚を肩に抱え上げ、左脚を右膝の下に組み敷いた。内壁を抉り擦られる角度と力具合が変わり、それに加えて今にもはち切れんばかりに滾っているのに解放を許されないものに更なる快感が与えられて、びくびくと勝手に身体が跳ね回り目は開いている筈なのに何を映しているのかも認識できなくなる。気持ちいいのか苦しいのかの区別などもうつかない。意識を保てているのが不思議なほどだった。
「……そんなにっ、締めやがって……食い千切る気かよ……?」
「やあっ、あっ、ああっ、だめも……っ、出したっ、出させ……っ、ああっ、ほどいて……っ!」
「ダメだ」
「やっ、だめっ、も、へんに……なっちゃ……ああっ!」
「いいぜ、変に、なれよ……っ!」
 遠慮容赦のない強い突き入れが最奥を突き、それに合わせるように手淫の上下運動も速まっていく。自分が何をどう感じているのかももう認識できない、津波のような濁流に飲み込まれ息ができない。そんな中で、内側を穿つキキョウの熱が大きさを増してびくりと跳ねるのだけをどうにか感じ取る。
「ひぁっ、あっ、も……イキた……っ! あぁっ、おねが……ああぁっ、やっ、おねがっ……します……ああっ!」
「仕方、ねぇなぁ……中に、出すぞ……っ!」
「ああっ、くださ……中に……っ、ほし……あ、ああっ!」
 肉茎を根元まで埋め込んだところでキキョウは腰の動きを止め、息を詰めて低く呻く。前後してリンドウの中に埋められたものが勢いよく跳ねて内側に火傷しそうな熱を撒き散らす。放出は幾度も続き、どろりとした粘液が内側を満たしていく。
「っ……ふ……」
 ようやく射精が収まったところでキキョウは何かに気付いたような顔をしてリンドウの顔を見たが、熱の余韻に浸るリンドウはその視線に気付かない。
「そういや、オレがイッたらって約束だったな。解いてやるよ」
 まだぼんやりして息の荒いリンドウにはキキョウのその笑み混じりの声もどこか遠く聞こえた。だが、男茎の根元に巻かれた紐の結びが解かれ戒めが解かれると急速に意識がそこに集中する。
「イッていいぜ」
 男茎を掴んだキキョウの指が裏筋を撫で上げ雁首をなぞると、それだけで呆気なく限界が訪れた。奔流のような射精欲が怒涛となって頭の中を塗り潰す。
「でっ、で、もっ、ああっ、ああぁっ!」
 大量の白濁が勢いよく飛び散り腹や胸を汚す。二度三度では収まらずあまりにも強すぎる射精の快感と解放感に意識が飛びそうになる。勢いを失っても精液は吐き出され続け、どろりと下腹を汚す。ようやく終息した頃にはリンドウはもう口もききたくないほどぐったりと脱力していた。
「あぁあ、こんなに出して。おめぇちゃんと抜いてんのか?」
「……キキョウさんが…………あんな事を、するから……」
「でもよかったろ?」
 快感も強すぎれば苦痛に苛まれることになるが、もう反論する気力すら起こらない。無視して息を整えていると、どういう訳かキキョウはリンドウの左脚まで肩に抱え上げて両肩を掴んできた。
「じゃあ二回戦いっとくか」
「……は?」
「一回で足りるわけねぇだろ、何ヶ月ヤッてねぇと思ってんだ」
「ちょっと、待ってください、無理……ああっ!」
 結局その後抜かずに三回文字通り犯され倒して、汗と精液まみれの身体で泥のような眠気に襲われたリンドウは、意識を手放す間際にもっと頻繁にキキョウと会うようにしなければならないと決意したのだった。

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