寝てる子が起きない
身体を横にして肘を突き上体を斜めに起こしてベッドに横たわるキキョウの隣には、先程気を失うように眠りこんだリンドウがいる。まだ年若い上にそれなりに身体を鍛えているリンドウは夜通しでもいける体力は持ち合わせているのだが、今日は初回からどうもやりすぎてしまったようで絶頂と共に意識が完全に飛んでしまったらしかった。そうなるとちょっとやそっとでは起きはしない。元々キキョウが来る前は分単位での誤差しかないような規則正しい生活を送っていたリンドウは寝付きがとてもいいし、一日中よく働いて疲れているからかすぐに深い眠りに入ってしまうので一度眠りに落ちてしまえばそう簡単には目覚めない。
穏やかな寝息を規則正しく吐くリンドウの寝顔を眺めながら、キキョウは面白くないような不満げな表情を浮かべていた。全然まだ物足りない、それが今の正直な感想だ。まだ一回目だというのに意識が飛んでしまうなんてだらしのない奴、自分のやりすぎを棚に上げてそう思ってしまう。かといって起こしたところでそう簡単には起きないだろう。
しばらくそのまま面白くない顔でリンドウを眺めていたキキョウは、ふと何かいい事を思い付いたように口の端を上げた。そっとリンドウの耳許に口を寄せ、軽く息を吹きかける。
「んっ……」
僅かに身じろぎしただけでリンドウは眠りから覚める様子はなかった。快楽に弱いリンドウの反応を楽しめないのはつまらないといえばそうなのだが、たまにはこういう趣向もいいだろう。耳の骨に沿って舌先を這わせ、胸板に伸ばした手でまだ柔らかい乳首を探り当てやわやわと指先で弄る。鼻から甘い吐息を漏らすものの、リンドウが目を覚ます様子はまだ一向になかった。もう少し大胆に舌を這わせ軽く耳朶を噛んでみるが、煩わしそうにゆるりと首を振っただけでリンドウはまだ目を覚まさなかった。
これはいける、妙に確信めいたものが胸に湧き上がる。このままリンドウを起こさずにどこまでやれるのかを楽しんでみるのは大いにありだ。硬くしこった乳首を弄びながら耳の穴に舌の先をゆっくりと出し入れしても、甘い吐息を吐きながらいやいやをするように首を振るだけで全く目覚めない。どれだけ深く眠り込んでいるのかと呆れたような気持ちも湧いてくるが、それはそれで都合がいいので考えない事にする。
まさかと思って手を下ろし鼠径部を探ると、男茎はもう熱を持ち始め甘く勃ち始めている。本当に正直な身体すぎるし若いってのはすげぇな。浮かんだ感想は胸の内にのみ秘しておく事にする。あまり強い刺激を与えすぎて起こさないようにやわやわと男茎を揉みしだきながら、首筋に顔を埋め滑らかな白い肌の感触を心ゆくまで楽しむ。先程の交わりでかいた汗の匂いが立ち込めて情欲をそそる。唇を落とし舌を這わせ空いている手で撫で擦る。
武芸の心得があり習慣か趣味かは知らないが日常的に鍛えているリンドウの身体は和菓子作りと遊興情交以外の事にはさしたる興味もないキキョウに比べ逞しく引き締まっている。リンドウの側が受け入れていることが前提にありリンドウがその気にさえなればいつでも立場を逆転される可能性はあるとはいえ、そういう身体の男を組み敷くのは支配欲を充分に充足させなかなか深い満足感を与えてくれるし、リンドウが立場を逆転させるような事はしないであろうという自信がキキョウにはあった。元々の素質が高かったのだろう、今ではすっかり男を受け入れ犯される悦楽と歓びに浸る事を覚えてしまったリンドウが、ある種のバランスを保ち安定している今のこの関係を積極的に崩そうとするとは思えない。キキョウ自身は下に回ることも決してやぶさかではないが当分この関係が崩れることはないだろう。少しずつ技術をリンドウに仕込んでからでも遅くはないし、リンドウがそうしたいと言い出したら考えればいいだけの話だ。
「ん……んっ…………」
首から肩にかけての隆起を指先でそっと撫ぜるとリンドウの声が緩く漏れる。片手で揉んでいた男茎は芯を持ち硬く形を成し始めている。多少眉根が寄った程度でリンドウが起きる気配はまだないのに安心し、形良く張った胸板の感触を心ゆくまで楽しむ。焦らされるのが苦手なリンドウに合わせていると先へ先へと急かされるのでなかなかじっくりと味わう機会はない。雪国育ちのせいか男の割には肌理の細かい白い肌は先程一度帯びた熱の故か艷やかで、大いに興奮を誘う。感じる箇所を探るという目的は抜きでただ楽しむ為だけに唇と舌でたっぷりと肌の感触を味わい、自身の興奮を徐々に高めていく。
乳輪をぐるりと舌先でなぞり乳首を転がすとリンドウの身体がぴくりと揺れたが、微かに呻いただけでまだ起きる様子はない。飴玉でも舐めるように熱心に乳首を舐めしゃぶりながら大きさを増した男茎をゆるりと扱いて刺激が強くなりすぎないよう亀頭にそっと触れ先端を指で押し込むと、溜まっていた先走りがたらりたらりと溢れ出してきて竿を濡らした。
「すげぇな……もう、こんなにヌルヌルだ……」
思わず独り言が漏れる。リンドウが起き出さない程度の力加減で大分逞しくなってきたものをゆるりと扱くと、たらたらと垂れてくる先走りがぬちょりと卑猥な水音を立てる。呼吸が大分が浅くなっているもののまだ起きようとはしないリンドウの様子にある種の感心すら覚える。この状況でよく寝ていられるものだ。
起こさないよう細心の注意を払いながらゆるゆると陰部を刺激しつつ引き締まった腹と腰にじっくりと触れ、その感触を楽しむ。色こそ白いがくっきりと筋を描いて張り詰めた腹や脇腹の筋肉を唇で感じ、この身体が自分のものであり快楽のもと支配下に置いているのだという優越感と満足感に浸る。形良く割れた腹筋の筋を舌先でなぞり臍に至ると、ぴくりとリンドウの身体が揺れる。起こしたかと一瞬ひやりとするが、リンドウは幾度か首を振って甘く呻き声を立てただけでまた静かになる。
これならば、もう少し大胆な事をしても起きないのではないだろうか。悪戯めいたどこかわくわくとした楽しい気持ちが湧き上がり、濃く立ち込める雄の匂いに引き寄せられるようにキキョウは男茎に口を寄せ、竿の半ばを唇で軽く挟んだ。太い血管がどくどくと脈打つのを薄い皮膚越しに感じ取り興奮が増す。先走りでぬるついた竿部を舌を柔らかく使い舐め上げると、やや生臭い塩気が口の中に広がり男茎は悦ぶようにぴくりと跳ねる。軽く呻くものの置き出そうとはしないリンドウの様子を伺いつつ、キキョウの舌の動きはどんどん大胆になっていった。舌全体を使ってゆるりと竿を舐め上げ、舌先で裏筋を辿り雁首を回し舐め、亀頭をそっと口に含む頃にはいい加減そろそろ起きてもいいのではないかという気分にすらなっていた。もっと激しく快楽を与えて追い立ててやりたい、快感に染まり敗北して甘く喘ぐ声が聞きたい、そんな欲求がどんどん高まってくる。さすがにこうすれば起きるだろうと思い、根元を握り頬を窄め舌を絡ませながら喉奥まで呑み込み引き抜く動きを段々速めていく。空いた手は陰嚢を包んで中の二つの玉を転がし擦り付けるように弄ぶ。
「んんっ……ん…………は…………えっ……? あっ、兄弟子……何を……うぅっ、あ、はっ……」
ここまでされればさすがに目を覚ますらしい。起き抜けのぼんやりした頭のリンドウは自分に起こっている事態を把握しきれず混乱しているようだった。だが親切に疑問に答えてやるつもりなど毛頭ない。キキョウの口淫はますます熱心に激しさを増し、リンドウの混乱を助長していく。
「あっ、ああっ、なん、で……っ、こんなっ、ううっ……すぐ、イキそ……は、あぁっ、あにでし……っ、も、やめ……っ!」
リンドウの両手がキキョウの頭にかかり引き剥がされようとするが、眠っている間に高められていた身体に与えられる口淫の快感の強さに耐えかねた様子で腕には然程の力は入っていなかった。追い立てる為に懸命に舌を使い感じる箇所を責め立てていく。口の中を埋め尽くすほど大きく膨れ上がったものはびくびくと跳ね回り、限界が近い事を知らせてくる。
「もっ、もう……っ、は、あぁっ、でそっ……出るっ……あにでし……っ! くっ、うぅっ……んんんっ……」
低く呻いたリンドウの腰が張り詰め上がり、根元まで男茎を咥えこんだキキョウの鼻や唇に縮れた固い毛の茂みが押し付けられる。口内に咥えた男茎はびくびくと大きく震えながら熱い粘液を吐き出し、それを幾度か繰り返してようやく静かになり、徐々に萎え柔らかくなっていく。口の中に放たれた粘液を全て飲み下してようやくキキョウは口を離し頭を上げ、呆然とするリンドウを見下ろして口の端を上げ笑った。
「はぁっ……な……何をしているんですか兄弟子……」
「何って二回目だよ」
「えっ? は……? 何で……?」
「オレぁまだ満足してねぇんだ、勝手に寝てんじゃねぇよ。いくら弄っても全然起きねぇしてめぇが寝てる間に全部終わるとこだったんだぞ」
「そんな無茶苦茶な……だ、大体、先程は兄弟子があんなにするから気絶してしまっただけで……」
バツが悪そうに目線を逸らし、段々と声量を落としながら最後の方はほとんど消え入りそうな声でリンドウが文句を言う。先刻の痴態を思い起こしているのであろうリンドウの頬は朱に染まり、もう飽きるほど身体を重ねているというのに抜け切らない初心さが見え隠れして嗜虐心が思わず刺激される。
「さっきの、よかったんだろ? 出したばっかだってのに思い出しただけでもうこんなだもんな?」
「はっ、あぁ……っ!」
手でそっと探るとキキョウの口内に熱を吐き出したばかりのものは再びしっかりと形をとって上向き始めていた。そのまま手を滑らせ奥深くに秘された窄まりに指先を宛てがうと、先程中に吐き出された精が漏れ出してねっとりと湿ったその場所は物欲しげにひくついていた。
「思い出しただけでもう待ち切れなくなっちまったのか? ほんといやらしい身体だな」
「ちがっ……います……っ! やっ、あ、ああぁっ!」
先程の交わりで緩んだ出入り口はキキョウの人差し指と中指の先を苦もなくするりと呑み込んだ。拡げるように動かすと、どろりとぬめった精液の残滓がぐちゅりと淫猥な音を立てる。そろそろ抑えがきかなくなってきて緩く開いたリンドウの唇に咬み付くように強引に唇を押し当て、大した抵抗もしてこないリンドウの口腔内を挿し込んだ舌で思う存分舐り犯す。
「まだ、おめぇを犯し足りねえんだ……もっと抱かれろ」
唇を離しそう告げるが、リンドウは応とも否とも返答を返さなかった。目線を逸らしてただ荒く浅い息を吐きながら、後孔に与えられる快感に対しもっととねだるように腰をくねらせる。
「言えよ、欲しいんだろ?」
「……これ以上、されたら……あっ……おかしく、なりそ、で……っ」
「おかしくなるほど感じまくってるとこがたっぷり見てぇんだけどな?」
「もう、今日は……っ、さっき、あんなにっ……あ、あぁっ……」
「いくら見ても足りねぇよ、もっと、啼かせてぇ……」
指を引き抜き代わりに先端を宛てがうが、リンドウは拒みはしなかった。拒むはずはないという自信もキキョウにはあった。恥じらいの裏に隠されているのは確実に快楽を求める欲望だ。己の中に存在するその欲望を恥じているのだから、欲しくないわけがない。先程の情交と指での愛撫で蕩け柔らかくなった後孔は押し広げるように割り入ってくる先端を滑らかに呑み込み、きゅうきゅうと締め付けてくる。
「はっ……! あっ、あぁっ……!」
「まだ先っぽしか入ってねぇぜ? もうそんな感じまくってる顔してよ」
「あぁっ、あ……起きた、ばっかりなのに……っ、からだっ、おかし……っ、うあぁっ!」
腰を進めるとリンドウの肩が大きくびくつく。寝入っている間に身体を弄り回し性感を高めていた事は先程言った筈だが気付いていないようだった。だが混乱は性感をかえって高めている様子で、肉茎を奥に進めていくごとにリンドウの表情はどんどん蕩け緩んでいく。
「あぁっ……ふとく、てっ……くる、し……っ!」
「それが、好きなんだろ? ほら、挿れただけで、もうこんなだぜ?」
「いっ……あ、あぁっ!」
もう先端から零れ落ち滴り始めていた先走りを指先で亀頭に回し塗ると、リンドウは高い喘ぎ声を上げ連動するように後孔と内壁がぎゅっと締まり半ばまで呑み込ませた肉茎を絞り上げるように刺激してくる。今まで男は抱くよりは抱かれる事の方が多かったが、それでもそれなりの人数と経験をしてきた。しかし性行為どころか口付けすら全く未経験の状態からこんな早さで適応して無意識とはいえこんな風にキキョウを煽ってくるようにまでなった男など他にいなかった。とんでもない奴に手を出してしまったのかもしれない、これでは他の身体では満足できなくなってしまう。後悔とよく似て非なる感情が湧き上がってくるが、恐らくこれはただの戸惑いだ。自分がまさか一人の人間に執着するようになるとは思っていなかったという戸惑い。快楽に従順で素直でどうしようもなく淫靡なこの身体を手放すなどもう想像もできなかった。
竿を扱くともなく柔く揉み解すように手を動かしながら腰を引き、小刻みに動かし内壁の他の部分とは感触が異なるコリッとした部分を雁首で抉り刺激し続ける。弱点をひたすら責められるリンドウは耐えかねて背を撓らせ浅く短い喘ぎ声を間断なく上げ続ける。
「あ、や、やっ、そこ、ばっかり、あぁっ、あ、やっ、だめっ、やめ、あっ、あぁっ、おねがっ、もっと……おく、も……っ!」
「好きだろ? ここ、そんなに、感じまくってんだからよ」
「だっ、そこ、ばっかり……っ、されたらっ、あ、あぁっ、だめっ、だからぁっ、は、あ、あっ、もっとっ……ふかく、してっ、くださ……っ!」
「奥まで……っ、チンポ、咥えこまねぇと、満足できねぇのか? ほんと……いやらしい身体だよなぁ?」
「あぁっ、ほし、ほしい……っ、おくっ、ついて……くださ……っ!」
やはりリンドウは焦らされるのはあまり好きではないようで、両脚をキキョウの腰に回し自分の方へと引き寄せようと力を込めて、更に奥へ引き込もうと内壁を蠢かす。初回はこういったねだるような仕草を全て無視して焦らしに焦らしてやったら絶頂の快感が強すぎたのか意識が飛んでしまったので、さすがに一日に二度も気絶はきつかろうと思い焦らすのはやめることにする。
「あああぁ……っ、は、あぁっ……」
望み通りに根元まで肉茎を埋め呑み込ませると、リンドウは顎を上げ艶めかしい白い首筋を晒して感極まったような嬌声を上げた。身体を倒して美味そうな首筋に軽く噛みつき、竿を緩く刺激していた手は移動させて亀頭を包んで揉み擦り、激しく腰を振り欲望のままに奥底を突き立てていく。
「あっ、は、ああっ、あ、いいっ、あぁっ、いいっ……! 奥まで……っ、ふといのっ、きてる……っ! んっ、うぅっ、は、あぁっ、きもちっ、きもち、いい……っ!」
あられもない嬌声を上げながらびくびくと身体を震わせ夢中で腰を振り快感に耽溺していくリンドウの姿は昼間の折り目正しく真面目な優等生然とした姿からは想像もつかない。性についてなどまるで経験も興味もないような涼しい顔をしたこの男を己の行為によって支配し悦楽の奴隷と化しているという事が支配欲と征服欲を深く充足させていく。一度目の交わりで腸内に残った精液が引っ掻き出され混ざり泡立ってぐちゅぐちゅと淫猥な音を立て、興奮を一層掻き立てる。
「んあっ、あっ、あっ、は、あ、おくっ……いいっ、あっ、あにでしの……っ、きもち、いい……っ! もっと、もっと……ほし……っ!」
「どんだけ……欲しがりなんだよ、ほんっとドスケベだな、おめぇはよ……しょうがねぇな、おら、うつ伏せになって腰上げろ」
「んっ……ん…………」
ぴしゃりと尻を叩くとリンドウは一時も外したくないとでも言いたげな名残惜しげな声を上げつつもキキョウの言葉に従ってうつ伏せになり腰を上げた。両手でリンドウの腰を抱えて位置を調整し、再度自身の昂ぶりを深く挿入していく。
「あぁ、あ……っ、ふか、い……っ! おくまでっ、きてる……っん、はぁっ……」
「こういうのが、お好みなんだろ? この体勢……全部、丸見えだぜ? ほんっと、いやらしい奴だな」
「ああっ、や……そんな所……っ、見ないで、ください……」
「見ようとしなくても目に入っちまうんだよ。おめぇのいやらしい穴に、オレのが出たり入ったりしてんのも、全部丸見えだぜ。おら、こっち向いてちゃんと、その感じまくってるいやらしい顔、オレに見せろ」
キキョウの言葉にリンドウは素直に従い、首を曲げて左側面の顔をキキョウに向けた。とろりと潤んだ眼の周りは耳まで朱に染まって白い肌によく映え、しどけなく開いた唇からは甘い吐息が止め処なく漏れ出している。間違いなく無意識にやっているのだろうが、男を誘い唆る天性の才があるのではないかと疑いたくもなる。
「あ……は、はやく……っ、ください……もっ、がまんっ、できな……あぁっ」
「ったく、少しも辛抱できねぇのかよ、言われなくても、今からたっぷり、犯してやるよ……!」
抜ける寸前まで腰を引き強く打ち付ける。その繰り返しの動きから生み出される快感がリンドウの顔を歪ませていく。熱く柔らかくとろけて肉棒を奥へと引き込もうと蠢き咥え締め付け離そうとしないいやらしい身体。目の前にひれ伏した男を自らのもので征服し一挙手一投足まで支配する陶酔感と興奮にキキョウは酔いしれどんどん動きを速めていく。
「あっ、はっ、ああっ、そんな……っ、はげしっ、や、ああっ、あっ、いっ、いいっ、ああっ、きもちっ、いい……っ!」
「どうせまだ、足りねぇんだろ? オレも、こんなもんじゃ、まだまだ足りねぇなぁ……!」
奥まで貫いたものを円を描くようにぐりぐりと動かし内壁を刺激すると、リンドウがびくりと肩を震わせ顎を上げ、もどかしそうに唇を噛む。シーツを掴む手に力が込められている様子が目に入り、堪え逃しきれない程の悦楽を持て余している様に壊れるほどもっと与えてやりたいという嗜虐心が刺激される。先程にも増して激しい抽送を再開すると、悲鳴にも似た苦しげな喘ぎ声がリンドウの喉から漏れた。
「ひっ、いっ、ああっ、や、ああぁっ、そんなっ、はげしい……のっ、ああっ、へんにっ……へんにっ、なっちゃう、からぁ……っ!」
「こうされんのが、好きなんだろ? 奥までズボズボ、強く突かれんのがよ……っ」
「あぁっ、すっ……すきっ、すきです……っ! やっ、あ、きもちっ、よすぎて……っ、もう……っ! あぁっ、やっ、だめっ、も……ああぁっ!」
浮き上がっているリンドウの腰から腿に力がかかって緊張し、締め付けも強まる。絶頂が近いようだった。潤んだ目は焦点が定まらず、開いたままの口からは絶え間なく甘い声が漏れ出し、緊張して上がった肩は小刻みに震えている。そのくせ太く硬く熱いものを貪欲に求めて腰のうねりは激しくなってきているのだから、実に淫らな身体だった。いくら犯しても犯し足りない、もっとこの身体が欲しい、そんな果てのない欲望が胸を埋めていく。
「あぁっ、あっ、だめっ、も、むりです……っ、イきそっ……も、イクっ……、ああっ、またっ、うしろでっ、イっちゃう……っ!」
「イキてぇんだろ? じゃあ、イけよ……っ!」
「イクっ、いっ……やっ、あ、ああぁ……――っ!」
緊張しきったリンドウの全身がびくびくと活きのいい海老のように跳ね、内側も搾り取るように強く締め付けられる。襲い来る強い射精感をどうにかやり過ごし絶頂に達している最中のリンドウをさらに責め立てると、終わらない絶頂感にリンドウの首が大きく振れた。
「ひぁっ、あっ! や、もっ、またっ、またイクっ……! ああぁっ、むり、も……っ、イクっ……ああっ! だめで……おねが……っ、あぁっ!」
「どうだよ、満足できたか?」
「いっ……あ……やぁっ! も、むり……っ、むりですっ、やあぁっ、あっ、あぁっ!」
「なんだよ、もう音ぇ上げちまったのか。しょうがねぇな、この辺で、勘弁しといてやるよ……っ」
そう告げてキキョウは腰を強く押し付けリンドウの臀部と深く密着させると、堪えていた射精への欲求を解き放つ。解き放たれた欲望がせり上がってきて放たれる度に強い快感が襲い来て、感極まったように荒い息が深くなる。
「あぁっ、あ……あつ、い……っ!」
脱力しきったリンドウが身体の内側に放たれたものの熱さに身体を震わせ、腰を上げている体勢を保つ力ももうないのかずるずると崩れ落ちる。荒い息を吐き出し続けるリンドウの背中に寝そべり伸し掛かり、耳許に口を近付ける。
「よかったか?」
「は……あ……すごく…………よかった、です……」
「じゃあもう一回、しようぜ」
「すぐは……無理です、少し……んっ、休ませて……ください……」
リンドウの返答には少し不満を抱いたものの、まだ付き合う気があるならそれでいいかと思い直す。何せ夜は長い、まだまだこれからなのだ。この淫らな身体を次はどう楽しんでやろうかと思いを巡らせながらキキョウは熱の引かない赤く染まったままのリンドウの頬にそっと口付けを落とした。
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